1月金曜サロン~高次脳機能障害の方の現状と支援

新年初めのサロンは、
高次脳機能障がいの方の現状と支援について、地域で活動する社会福祉法人六三四(むさし)の山口建さんをゲストにお招きしました。関心のある方が来てくださり、丸テーブルいっぱいに囲んでお話を熱心に聴きながらいろいろな質問がでました。

高次脳機能障がいとは

脳卒中や交通事故などによる脳の損傷が原因で、脳の機能のうち、言語や記憶、注意、情緒といった認知機能に起こる障害。全国に50万人くらいいると推定されており、発症の原因は8割が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、1割が交通事故などの脳外傷によるもの、他に脳炎、窒息や心筋梗塞からおこる低酸素脳症、パーキンソン病などによるものがあります。その症状や回復の程度は一人ひとり異なり、徐々に進行していく認知症とは異なります。

見えない障がい、隠れた障がい
だから総合的な地域支援体制が必要

高次脳機能障がいは、個々に異なる症状があります。注意力散漫、怒りっぽい、記憶が悪くなる、段取りが悪い、など外見からはわかりにくく、病院では気づかれずに実際の生活や社会に戻って初めて問題が顕在化することが少なくないのだそうです。
「見えない障がい、隠れた障がい」などとも云われ、フォーマル・インフォーマル資源が多くある一方で、見えないからこそ、日常の生活ではわかりにくい困難ケースへのアプローチなど複雑な対応やサポート体制が追いついていないと指摘します。

高齢者だけでなく若い人もいることから、緊急時・24時間対応や医療機関との連携、日中系施設の役割などきめ細かい支援と機動力をもつ体制が必要です。

六三四では、高次脳機能障がい関連の支援を開始して30年余り経つとのこと。
地域に根ざして活動してきた実績と今後の課題など、事例含めてわかりやすく話していただきました。当事者と家族への支援(レスパイト含め)、リハビリと合わせて「地域における居住支援のための機能強化」―相談支援、職場体験の機会や場づくり、緊急時の受け入れ、専門員の配置、地域体制づくり、をさらにすすめることが必要だと山口さんは熱く語ります。
まだまだ身近な相談窓口、関連施設の紹介や障がいについての周知と理解をすすめていく活動が求められると改めて実感します。

生活者ネットワークとしても、地域ニーズの実現と総合的な支援が可能になるよう、在宅医療の連携、地域生活支援の拠点づくりに向けて、ひき続き取り組んでいきます。

*多摩北部医療圏(清瀬市、東久留米市、西東京市、東村山市、小平市)ではネットワーク協議会を立ち上げ当事者家族への支援のための交流会、医療技術者向け研修会や事例検討など実施している。