金曜サロン 「防災・コミュニティ・まちづくり」

~安全・安心を越えた社会の実現に向けて

災害現場の経験や防災事業研究所で情報処理などに携わり、現在も東京工業大学で特別研究員としてご活躍の角本繁さんをゲストにお話を聴きました。

災害時の話では、阪神淡路大震災、東日本大震災の直後に現地入りして調査や支援を行った時の報道にはないような被災現場の写真や記録とあわせて、経験談をお聴きしました。

新潟中越地震の被災地での支援活動では、川口町の依頼により復旧行政業務に有用な客観情報の時空間データベース化を実施したことで、旧山古志村の全戸家屋被害時空間データベースを構築できたといいます。つまり、普段からの情報システム(住民・家屋のデータを地図におとす)で災害時対応していくことが大事だとのお話で、行政による防災システムがあっても災害時に実際につかえないのでは問題と、厳しく指摘します。災害時と平常時との連続性をもったGISによるデータ管理「リスク対応型地域管理情報システム」を図式化して示してくれました。

防災に求めること― 人命・社会を救う

避難所に行ったはずなのに見つけられず、家屋の下敷きになったまま餓死していた方の話がありました。安否確認の管理情報のとり方や感染症予防など含めた多目的な対応を可能にするためにWebなども利用すること、地域事例をあげて示してくれました。

講師の角本繁さん(右端)

そして、角本氏の語る安全安心システムとは?

地域の生活を守るために、地域で構築し管理すること。地域活性化と自治体連携のための情報システムである―生活基盤を失うことにならないよう、普段の生活に希望があること、医療の保障はもちろん、災害の時の被害が軽減されるよう。

社会を救う・支える防災とは?

水や食料の備蓄はもちろん有効であるが、それより重要なのは知識だといいます。
乾パンがあっても実際には食べられなかった、人間の営みの中で培った知恵を用いて笑顔になること、生活の知恵を伝える工夫、子孫に伝える経験が大事なのだと話されました。
防災からコミュニティやまちづくりの話、さらには幸せの追求へと、ひろく奥深いお話に聴き入るばかりでした。専門的な知識と経験に基づく強い確信と角本さん自身の本当の想いを聴いたひとときでした。