小平ネット拡大サロン ~高次脳機能障がいについて学ぶ

小平・生活者ネットワークでは、地域で活動されている人をゲストにお招きしてお話を聴くサロンを開催しています。9月は、池田敦子さん(元東京・生活者ネットワーク都議)をゲストに高次脳機能障がいについてお話しを聴きました。家族会の方からの情報も聴くことができ有意義な時間でした。

 

高次脳機能障がいはどんな障がい?

高次脳機能障害という用語は、聞いたことはあるけれど詳しい症状や対応について、あまり知られていないのが現状です。この障がいが支援の対象として認識されたのは最近のこと。そのため今も多様な症状に対しての必要な支援策は確立されていないのです。

高次脳機能障がいは、脳のどの部分が損傷するかによって、言語や記憶、思考、空間などの認知機能や精神機能の障がいがおこります。病気や事故だけでなく、風邪やコロナなどのウィルス感染症がきっかけになることもあり、誰がいつなるのかわからないのです。つい昨日までなに不自由なく生活していたことが一変してしまう、受け入れられないのは当事者はもちろん、その家族も同じです。脳に損傷を負ったことで現れる症状(後遺症)については多様なことから、それぞれ個別の支援が必要になります。

当事者家族としての決意から

池田さんの息子さんは、24歳の時に脳に障がいを負って高次脳機能障害で寝たきりになりました。それをキッカケにいつか自宅が居場所になればと願い、家をリフォームし社会福祉士資格を取得しますが、設立前に息子さんは亡くなられました。
その後、2007年にNPO法人VIVID設立。
2011年に高次脳機能障害者支援促進事業の補助金でミニデイサービスを開始。
2014年に高次脳機能相談支援VIVID開設。2018年には就労継続支援B型事業所「フレッシュスタート目白」を開設。池田さんは、2020年に退職されましたが、今はリーディング劇をおこなう「はたらきTHEかり」(2022年9月設立)に関わりながら、「東京高次脳機能障害協議会TKK」の幹事をし、「高次脳機能障害者支援法」成立を目標に活動されています。

重度の人も支援の対象にした活動

「はたらきTHEかり」は、人生の半ばで脳を損傷し高次脳機能障害になった人とその家族等の集まりの名称で総勢19人の会。毎月最後の土曜日、1回おきにリーディング(朗読)劇の練習とお楽しみ会を開いています。(朗読本は「あらしのよるに」)来年3月発表会を目標にして練習しているそうです。
ここで活動する当事者たちはLINEで連絡を取り合っていて、そのやりとりについても紹介していただきました。会話しながら、お互いの悩みを相談したり、また励まし合いながら前向きに生活している姿を垣間見ることができ、当事者が交流する場や自分を活かせる場がとても重要なのだと話されます。制度による生活支援や身体介護の支援だけでなく、当事者の安心できる居場所が必要だということを実感しました。

実は、高次脳機能障がいの人は身近にいて、多様な支援につながる窓口と具体的な支援施策が求められています。現状を知ること、施策への要望に繋げること、高次脳機能障害支援法の制定の後押しとなるよう、これからも活動していきます。