こころみ学園&ココ・ファーム・ワイナリーを訪ねるバスツアー

~小平・生活者ネットワーク26周年行事報告

集合写真

急斜面に広がるブドウ畑の前で参加者全員と

小平・生活者ネットは設立から今年で26周年になります。昨年は25周年という節目の年だったことから、山崎翠さんをお招きしてルネこだいらで講演会を開催しましたが、今年の周年行事はかねてより1度は訪ねてみたいと思っていたこころみ学園とココ・ファームへのバスツアーを企画しました。今回は、小平ネットの会員だけでなく、障がい者福祉に関心をお持ちの市民の方や近隣の生活者ネットワークのメンバーもお誘いし、11月5日に総勢20名で行ってきました。

急斜面のブドウ畑

急斜面のぶどう畑

こころみ学園は重度の知的障がい者が暮らす施設で、1969年に開園。1980年にはココ・ファームワイナリーが設立され、ここでつくられているワインは国際会議などでも使われ、質のいいおいしいワインとしてその名が広く知られるようになっています。同情ではなく、品質が評価されて購入されていることが、ここで仕事をしている人たちの誇りとなり、がんばれる力になっているそうです。
創始者の川田昇さんは、元中学校の教師で重度の障害がある子どもたちに働く力をつけたいと、1958年この地に山を購入し子どもたちと1本づつ木を切り、ぶどう畑をつくったのがその始まり。青白い手だった1年生も、夏の下草刈などの作業で、3年生になるころには陽焼けをしごつごつした農夫の手になっていったそうです。実際に目の前の急斜面に広がるぶどう畑をみると、農作業を通じて筋力も集中力も身につくという説明が頷けます。

最初の建物

設立当時の建物。30名の定員で職員も生活を共にした。

最近ようやく注目されるようになった農業と福祉の連携をここでは50年前から実践しているのです。
こころみ学園の定員は90名で現在94名が入所。入所者の平均年齢は55歳を超え、最高齢の方は94歳とのこと。医療が必要にならない限りここで看取りまで行なっているそうです。高齢化の問題はここでも新たな課題となっているようですが、それぞれができることをできる範囲でやるという創設時からの精神は今も引き継がれています。食事の支度、洗濯、そうじなどそれぞれの分野でのプロがいると職員の方が誇らしげに話していたのがとても印象的でした。こころみ学園の名前の由来はと聞くと足利地方の「やってんべ」という方言が、試みてみようという意味であることから名づけられたとのこと。世界に通用するワインが生まれたのもこのやってんべ精神がここに深く根付いているからこそ。

ランチ

ランチ

青空に晩秋の山の紅葉が美しく、併設のレストランでいただいたランチとワインも最高に美味しく、参加してよかったという感想もたくさん頂戴したことは企画した立場として嬉しい限りです。障がい者への差別や偏見が大きかった50年以上前から、生活者ネットがめざす「共に生き、共に働く社会」が実現していることに大きな驚きと希望を感じつつ、ここが特別の場所ではなくなるようこれからも声をあげ続けていきます。

小平・生活者ネットワーク 代表 岩本博子